2014年4月28日月曜日

自分の「予防接種歴」をみなおすことの重要性

私のクリニックでは予防接種を奨めています。
詳しくは「ヘルスメインテナンス」という予防/健康増進の医学領域の一つです。
こどもだけでなく、予防接種は大人にとっても、大変重要なことです。

例えば「先天性風しん症候群」という病気があります。
妊娠初期の女性が風しんにかかると、赤ちゃんの目や耳、心臓に障害がでてしまう大変重大な病気です。かかった時期が妊娠の初期であるほど、その危険性が高くなります。でも、風しんの予防接種は妊娠してから受けることが出来ません。周囲が予防する必要があります。

しかし、残念なことに、日本では過去に類を見ないペースで風疹の流行しています。その影響で赤ちゃんに障害が出るケースが全国で相次いで報告されています。昨年1年間の風しん流行で、障害が出た赤ちゃんは、全国で30人となりました。

実は「風しん」を発症した人の8割以上は、20歳代から40歳代です。「こどもの病気」ではなく、大人もかかる可能性が高い病気なのです。特に”男性”が感染を広げていることがわかっています。

「私は昔かかっているから」「むかし予防接種をしているから」と言われる方がいますが、実はりんご病やじんま疹など、非常によく似た状態を起こす病気だった可能性もあります。また1回だけの予防接種だと免疫力が大人になって下がってしまうことを知っている人は、案外少ないのです。

本当は「風しん」だけでなく「麻疹(はしか)」や他の予防接種も受けて欲しいと思っています。麻疹(はしか)は感染すると命の危険がとても高い病気です。「おたふくかぜ」や「水ぼうそう」も 脳炎、難聴、不妊症等、かかると治りにくい合併症をおこす危険があります。これらは予防接種を2回接種することで、ほぼかからなくなることが研究でわかっています。

これらの病気は、大人になって、たった1本の予防接種を受けることで予防できます。

予防接種の合併症を気にされる方もおられます。万に一つの確率でも起るか起こらないかで考えると、それは1か0かの判断になります。ただ予防接種の副作用が起る確率と、予防接種を受けずに感染して合併症が起る確率では、かなり大きな差があることも知って欲しいと思います。

人は生きていれば色々なことが予測せす起こり、それがきっかけで人生が大きく変わってしまうことがあります。良いこともあれば、悪いこともあります。予防接種は後者を防ぐことができる、最も簡単で効果的な方法のひとつだと私は思っています。今世の中にある予防接種を作って来られた先輩方も、おそらく同じ気持で作られたのではないかと思います。

今までこのことを地域住民の方々に積極的に説明してこなかった我々医療者や行政の責任は小さくはないと思います。そのことを踏まえつつ、私は少しでも皆さんに薦めたいことがあります。
それは、子供も大人も、是非、自分の予防接種手帳を見なおして欲しいということです。
そこで、予防接種を受けたことがないものがあれば、ぜひ近隣の医者や医療者に相談してみて欲しいと思います。

ある病気の流行を防ぐためには、その地域での予防接種率:80-90%以上が必要であり、それを達成するためには色々と努力しなければなりませんが、私は鎌倉地域での流行感染症をなくすことを目標に頑張っていきたいと思います。

病院と地域住民とのコラボレーション

しばらくぶりの記載です。

いろいろ書きたいことはあるのですが、すぐに時間が経過してしまうため、「またあとで」となってしまいます。でも大事なことなのに忘れてしまいがちで、記録をしっかりしなければいけないと反省しています。


でも今回の事は記載しなければ!と思いました。それだけ、私にとっては記念すべきことです。



4月下旬、私が関わっている「かまくら認知症ネットワーク」と、鎌倉山にある「メンタルホスピタルかまくら山」で、地域連携に関する意見交換会を行いました。

意見交換会にはメンタルホスピタルかまくら山から院長など8名、かまくら認知症ネットワークから5名が参加しました。

内容は主に、認知症病棟入院患者の早期退院支援の話題でした。

ここ5年間で入院の様相が変わりつつあり、現在入院の約半数が認知症の患者さんであること。さらに、BPSD多発期の困難事例はもとより、認知症独居高齢者の退院支援がはかどらずに困っているという話もお聞きしました。

第1回目の意見交換会ですので、顔合わせの意味で、一人一人が順に発言する方式をとりました。入院の状況やスタッフの関わり方、地域でどのように受けていくために活動しているのか、そして今後の認知症を支えるためにお互いが認識しなければならないこと等、普段なかなか大変意義深い話し合いができました。

今後は、早期退院に向けての課題や、具体的な支援策などにつながると良いと思っています。

なお、意見交換会の議事録は当会スタッフはもちろん、行政(鎌倉市、保健所、神奈川県)や医師会などとも共有していく方向となっています。

その他、タウンニュースと鎌倉生活が取材にみえました。


今回のように、地域で活動している地域住民と専門の病院スタッフが双方歩み寄って話し合いの場を持つというのは、とても稀有で先進的な取り組みだと思います。でも患者さんを中心に考えると、そこに関わるさまざまな人がお互いを知ることは、情報共有という意味だけでなくチームとして活動するためには、当たり前のことです。

今回それが個々の患者さんという単位だけでなく、鎌倉地域の認知症をもつ方やその家族、それに関わる方すべての人に対応する大きな単位でのチームとして動いていくきっかけになればと思います。